2010年10月5日火曜日

「無実確信」と短い談話 小沢氏、前見据え事務所後に

 「誠に残念だ。裁判の場で無実が必ず明らかになると確信している」―。東京第5検察審査会が強制起訴すべきだとの議決を公表した4日、民主党の小沢一郎元幹事長は短い談話を発表。事務所が入る東京・赤坂のマンションを車で出た際には、後部座席で前を見据え、笑みを浮かべたような表情をみせたが、党関係者や地元岩手には動揺が広がった。
 約100人の報道陣が詰め掛けた小沢氏の事務所が入るマンション。午後5時前には、平野博文前官房長官が姿を見せ、事務所で小沢氏と約30分面会した。
 平野氏によると、「どうしてこんなことになったんだろう」と問い掛けると、小沢氏は「そうなんだよな。分かんないな」と答えたという。小沢氏はにこやかで、議決への対応を協議している様子ではなかったという。
 午後7時前、小沢氏を乗せた黒いワゴン車が駐車場から出ると、一斉にフラッシュが光り、何度もクラクションが鳴り響くなど騒然とした。オートバイが後を追ったが、小沢氏は7時半ごろ、世田谷区の自宅に帰った。
 東京・永田町の民主党本部では、慌ただしく出入りする党職員から「これからどうなるのか」と懸念する声が上がった。
 ある男性職員は「政権交代は小沢さんの力が大きかった。(強制起訴で)党への影響は避けられない」と硬い表情。「判決まで1年はかかるだろう。小沢さんがこの先、どう判断するかも気掛かり」と顔を曇らせた。
 岡田克也幹事長は定例会見で「本人の考えが示されるのが先」と繰り返した。
 地元岩手県では後援会幹部が「非常に残念な決定でやるせない気持ち。小沢先生の潔白を信じて今後とも一丸となって応援していく」と肩を落とした。一方、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検の主任検事前田恒彦まえだ・つねひこ容疑者(43)による供述調書が証拠となっていることに触れ、「真実性に疑いがあり、議決は納得できない」と語気を強めた。
 これに対し、自民党岩手県連の千葉伝ちば・つとう幹事長は「県民の中には小沢首相待望論もあったが、期待は失望に変わっていくだろう」と切り捨てた。
 盛岡市の商店街を歩いていた大学生磯島大地いそしま・だいちさん(24)は「政治とカネの一連の問題に対する小沢氏の説明は不十分だった。市民感覚としては妥当な判断だ」と話し、法廷の場で疑惑が解明されることに期待していた。
『中国新聞』より
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