徳島市と県の意見が食い違い、計画が中断している同市新町西地区の再開発事業で、一部の地権者が、街づくりのNPO法人に依頼し、新しい計画案のたたき台をまとめた。これまでの計画にあった高層マンションをやめて、音楽ホールを新たに増やす。総事業費は約120億円で、前の186億円の3分の2程度に圧縮している。
この再開発事業は、独立行政法人・都市再生機構(UR)がつくった計画案を受け、2008年に市が都市計画案を県に提出。県は財政難を理由に同意を拒否し、市は見直しを迫られた。しかし、見直しの作業は進まず09年5月には、計画を立てたURは事務所を閉鎖。市まちづくり推進課は「実質、廃案に近い状態」と話す。
地元では、土地と建物の権利者約150人のうち約80人が今後の再開発を話し合う「ゴデレッチョ新町西創造会議」を設立。昨年10月から、北海道や秋田県など全国で再開発事業に取り組んだ実績のあるNPO法人TOMネット(本部・東京)の助言を受け、月1回の勉強会を実施していた。
最初の計画案との大きな違いは、22階建てマンションをやめて、住居部は地権者の住まいに限定。音楽ホールも計画案にあった大ホールに加え、地域住民も気楽に使える小ホールを設ける。再開発の資金は、大ホールを計画する市の予算などを充てる。同会議とNPOは今後、すべての地権者に説明し、今年度中にさらにたたき台から計画案を立て、市に提案する。
新町西地区は、西船場町1丁目と新町橋1丁目のそれぞれ一部と、西新町1丁目の約1・4ヘクタールの区域。JR徳島駅のロータリーから新町橋を渡った国道438号(通称新町橋通り)の北西側で、民家や商店がある。
(花房吾早子)
『朝日新聞』より
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