日本や欧米諸国が不況にあえぐなか、マレーシアは都市開発ラッシュが衰えない。新しい道路が次々と開通し、首都クアラルンプールの中心部には「これでもか」とばかりにオフィスビルやマンションが次々と建設される。ほんの数週間前に通った道路なのに、新しい建物が出現して景観が以前とすっかり変わっていることも少なくない。開発の波は都心のみならず、近郊に点在する居住区などにも広がっている。なかには、マレーシアならではの斬新な近代的マンションも登場した。
◆個性的な屋上
クアラルンプール中心部から約10キロのモントキアラ地区。国内の主要都市につながる高速道路のインターチェンジに近い交通利便性と、レストランなどの商業施設や文化施設が整っていることから、外国人居住者に人気がある。インターナショナルスクールや日本人学校の送迎バスのほかに日系学習塾、日本食材を含む品ぞろえが豊富なスーパーもあり、日本人駐在員も多く住む。当然ながら住宅も充実し、単身用からファミリー向けまで多彩なマンションが林立している。リゾート風の低層住宅あり、高層のタワーマンションありで、規模も豊富だ。
この“国際居住地区”に、不動産投資家も注目する新たな物件が姿を現した。マレーシア従来のイメージを覆す斬新な発想で設計された「VERVE Suites」だ。完成後は全部で4つの住宅棟で構成し、下層にはテナントが入る予定で、それぞれ個性的なデザインと趣向が凝らされている。4棟とも、最大の呼び物は屋上にある。
◆賃貸でも良さ実感
例えば、昨年に完成するや間もなく完売し、すでに入居が始まっている1棟目の「Viva Tower」は、36階の屋上に露天式テラスを備え、高層ビルのペトロナスツインタワーやKLタワーなどクアラルンプール市内を一望できる。
年内に完成予定の2棟目「Vibe Tower」は、27階の屋上にプールとジャグジー(気泡噴流風呂)のほかに開閉可能な屋根付きテラスを備える。さらにテラスは、キッチンとカウンターバー付きの全面ガラス張りダイニングルームでシェフの出張出前パーティーも楽しめる。
2012年初めには、屋上でドライブインシアターをヒントに考案した巨大スクリーンで映画鑑賞が楽しめる“アウトドアシネマ”が目玉の3棟目「Vogue Tower」が完成する。
そして4棟目の「Vox Tower」は、37階の屋上に人工ビーチの建設を予定している。数時間かけてリゾート地まで車を走らせなくても、自宅マンションの屋上に出れば、白砂に波が打ち寄せるビーチが目の前に広がり、ヤシの木陰のサンデッキでゆったりくつろげる。まるで夢のような暮らしだ。
これら常識を打ち破るマンションは、買って住むのもいいが、借りて住むのもまたいい。賃貸価格は周辺マンションとさほど変わらず、家具や電化製品が備え付きで住居者は屋上施設を利用できる。ジャグジーあり、屋上パーティーありで、ここに住めば、究極の“安近短リゾート”を楽しめるだろう。(在マレーシア・フリーライター 大野素子)
『フジサンケイビジネスアイ』より
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